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AR 現実とバーチャル融合 レンズのぞくと…未来見えた(産経新聞)

 観光地でカメラをのぞけば案内の看板が浮かび、遺跡でメガネをかければ古代の建造物が出現-。現実の風景に文字や映像のデジタル情報が重なってみえる「拡張現実」(AR)と呼ばれる技術が急速に進化している。iPhone(アイフォーン)などの高性能携帯向けサービスも登場し、私たちの暮らしに浸透し始めた。SF映画やアニメでみた現実とバーチャルが融合する未来は、すぐそこまで来ている。(猪谷千香)2

 6世紀末から7世紀にかけて栄えた古代都市、飛鳥京。奈良県明日香村の遺跡をARによって復元する「バーチャル飛鳥京プロジェクト」が、東京大学大学院情報学環・池内研究室によって進められている。

 ヘッドマウントディスプレーと呼ばれる装置を頭に装着して遺跡の前に立てば、7世紀に建立された川原寺などの建造物が、コンピューターグラフィックスで実際の風景の中に出現する。池内研究室では、光の方向と強さを計算して陰影を変化させ、より現実に近い映像を作り出すことに成功した。

 「このシステムは実世界と仮想空間を結びつけるタイムマシンのようなもの。バーチャルだったら、時代や学説による建物の配置の違いも表現できる」と池内克史教授。実際に建物を復元するよりコストが安く、遺跡を傷つけないなどのメリットもある。

 システム実用化を目指し、平成20年に学生らがベンチャー企業「アスカラボ」を設立。昨年、東京五輪招致活動でスタジアムのARを国際オリンピック委員会の視察団に披露した。

 もっと身近にARを体験できるサービスも、アイフォーンなどの高性能携帯向けアプリに登場している。人気は「セカイカメラ」で、アイフォーンをかざせば現実の風景に「エアタグ」というデジタル情報が重なる。昨年9月の公開後4日間で10万回ダウンロードされ、12月からは77カ国で使えるようになった。

 国内外の博物館や岐阜・飛騨高山で採用され、現地を訪れた人にガイド情報を提供。12月からは楽天トラベルと提携し、2万3千件の宿泊情報を公開している。企業などの公式情報だけでなく、ユーザーも情報発信できるのが特徴。人物にカメラを向ければ、その人が公開しているプロフィルなどの情報が画面に現れる。

 開発した「頓智(とんち)ドット」COO(最高執行責任者)、佐藤僚さんは、「現実世界とネットの境目で、ソーシャルなコミュニケーションができるようになる」と話している。

 ARによる街の活性化を図る実験が、東京・渋谷で行われている。経済産業省委託事業として、東急電鉄や国立情報学研究所などが、アイフォーン向けアプリ「pin@clip ピナクリ」を使ったサービスを今年3月まで実施。現在8千人が利用中で、今月24日までは、ARが日常化した近未来を描いたアニメ「電脳コイル」と連動したプロモーションを展開、作中に登場するアイテムを渋谷で集めれば、先着100人が食事券と交換できる。

 「電脳コイル」に登場する電脳メガネさながらのメガネ型ARディスプレーを開発しているのはブラザー工業。目に入れても安全な明るさの光を網膜に当て、その光を高速で動かすことによって映像を作る技術を採用。通常の視野の中に浮かんだ映像を見ることができる。実用化の時期はまだ未定だが、まずは産業向けを計画しているという。

【用語解説】AR(エー・アール)

 拡張現実、Augmented Realityの略称。映像やテキストのデジタル情報を現実の風景に重ね合わせる技術。インターネットやGPS機能などを使い、アイフォーンなどの高性能携帯のカメラで映し出すことが多い。

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